ふりかえれば今はオンライン

〈これは2022年4月21日に開催した「視覚障害ボランティア研修会(ボラ合同研修会)」での挨拶です〉

皆様こんにちは。センター長の土居です。一言ご挨拶申し上げます。

前年度は、皆様のご協力により、点字109タイトル、デイジー60タイトル、合わせて169タイトルの図書を製作し蔵書として受け入れることができました。感謝しております。ありがとうございました。

ここで少し私たちセンターの歴史をふりかえってみましょう。

事の始まりは、1953年6月、春日町に盲人会館が設置され、あわせて図書室が設けられたことです。
2年後の1955年3月には、厚生省から毎年200冊の点字図書配本が受けられるようになりました。ちなみに自前で図書製作するための点訳ボラ養成は、15年後の1970年11月まで待たねばなりません。通信教育でのスタートでした。
60年代末、1969年10月、静岡県身体障害者福祉会が点字図書館を設置し運営に当たりました。この時点では県委託ではありませんが、正式にはこの年を静点元年としています。点字図書2200冊からのスタートでした。
一方、1971年8月、テープ図書の貸出がスタート。その1年後には、録音ボラ養成も始まりました。さらに1979年8月には、厚生省から毎年180巻のテープ図書配本が受けられるようになりました。

1983年はセンターにとって重要な年です。3月にはこのシズウエルに移転してきて、そして4月から正式に、県が設置者、福祉会は受託運営者という現在の形になりました。また、センターのさまざまな記録もこの年から残っていて、登録者460名、貸出数は点字4383タイトル、テープ5322タイトルという数字が確認できます。

80年代末から点訳の世界にITが導入されます。1988年9月にスタートしたてんやく広場に加盟。このシステムは、パソコンで点訳し、そのデータを全国1か所のホストコンピューターに集め、個人や団体会員が必要に応じて利用するという、まるで夢みたいなことが実際に可能になっていくのでした。
音訳のデジタル化は90年代末から始まります。1999年3月、初めてデイジー研修会を開催し、10月にはデイジー図書の貸し出しが始まりました。
2000年代に入ると、図書館同士のネットワークの強化が図られ、オンラインサービスが目覚ましく発展していきます。2001年2月にはこれまでのてんやく広場に図書管理機能が追加されたないーぶネットがスタート。さらに2010年4月には、現在のサピエ図書館として再スタートします。サピエには、これまでの機能やサービスに加え、ネット上で正式にデイジー図書が利用可能になったほか、効率よく図書館業務を行える機能や仕組みが搭載されました。

そして今。このオンラインの波は生活の隅々にまで及んでいます。コロナ禍という要因により、さらに不可欠なものになっているとも言えます。もちろんセンターを利用する当事者にもさまざまな変化をもたらしており、図書利用や情報アクセス、さらにはセンター利用そのものも、もはやオンライン抜きにはあり得ないといっても過言ではありません。
そういう利用者ニーズや利用スタイルを踏まえ、私たちセンターは、昨年度より、改めてオンラインというキーワードで事業を展開し、業務を推進してきているところです。
テキスト化・テキストデイジー編集もその一つで、本格的に取り組むためにも、今年度は特に、音訳活動へのオンライン導入に力を入れる所存です。午後の音訳研修では、早速オンラインをテーマに行います。

もう一言。新センターになってから、ボラ養成において、点訳・音訳というこれまでのコースに加え、アイサポコースを設けています。これは、当事者をガイドしたり、何か必要な時に手を貸したり、どちらかというと直接的な対応を主とするボラ活動です。
そしてこのコースを終了した方が数名、ここに参加されています。この数年、コロナ禍にあって思うようなイベントを開催できませんでしたが、今年度は、少しでも積極的に、少しでも多く、利用者をターゲットにイベントを開催していきたいと考えています。アイサポの皆様には、そこでの活動、そこでの活躍を、期待しております。

ということでボランティアの皆様、今年度も、それぞれの立場、それぞれのかかわりの中で、センターの活動にご協力いただきますよう、どうぞよろしくお願いいたします。
ありがとうございました。