【アイサポ防災コラム】その78:また能登半島が被災
前線や台風10号から変わった低気圧の影響で、石川県の能登地方では21日、線状降水帯が発生するなど記録的な大雨で「大雨特別警報」が発表され、短時間の激しい雨のため、河川の氾濫などがあいつぎました。
能登半島では降り始めの9月20日夕方から23日11時までの降水量は、気象庁のデータによりますと、輪島市508ミリ、珠洲市398.5ミリを記録しており、輪島と珠洲市の降り始めからの総降水量は、9月 1ヶ月の 降水量が平年の2倍以上の記録的な大雨でした。
またこの大雨や今年元日の能登半島地震で地盤の緩んでいる所などで土砂崩れも多発しました。
9月24日午後4時現在、能登地方で7人が死亡、2人が行方不明、5人が安否不明となっています。
このうち輪島市久手川町では塚田川が氾濫し、住宅4棟が流され、住んでいたとみられる4人と連絡が取れなくなっています。
輪島市久手川町堂山では、1人で家にいた中学3年の女子生徒は、父親から避難するように電話で言われた時には、「もう逃げる場所がない。ドアも開かない」などと話したということです。次にかけた電話はつながらず、家は土台を残して流されてしまい、安否が不明となっています。
能登半島地震のあと、輪島市中心部に整備された仮設住宅団地では、近くを流れる河原田川が氾濫して、住宅およそ140棟のほとんどが浸水しました。
一方、静岡県では台風10号に伴う8月31日からの大雨で浸水被害や土砂崩れが多発して、静岡市葵区と駿河区をはじめ各地の浸水危険区域にレベル4の避難指示が発表され、交通機関なども大きな影響が出ました。
国や静岡県が管理する河川の堤防は、50年から100年に一度の大雨にも耐えるように造られているということですが、長年の土砂の堆積で河床が上がっていたり強度が弱くなったりで、短時間の大雨による堤防を越える越水や、決壊しやすくなっていたりします。
命を守る為には、自分の住んでいるところをハザードマップ=危険度想定地図で確認すること、台風情報や大雨情報、さらには避難情報を正しくキャッチし、速やかに安全行動を取ること、が重要です。
地震対策と同様、食料や水、非常食の備蓄は必要ですが、死んでしまっては何の役にも立ちません。
まずは命を守る為の避難など、イメージトレーニングをしてください。
(防災アドバイザー 郷隆志)