【アイサポ防災コラム】その44:『日本沈没』を見て
いまSBSの日曜劇場で『日本沈没 希望のひと』が放送されていますが、1973年に出版された小松左京の「日本沈没」を大きくアレンジした作品です。その原作はマスコミに入って2年目の私にはショックでした。翌年にTBSでテレビドラマ化がされてSBSで放送されていますが、以後テレビやラジオ、映画やアニメ、漫画など様々なかたちで伝えられています。いま放送のテレビ番宣によると、「どんな状況でも、あきらめない人がいる。周囲の意見に惑わされず、信念を貫く人がいる。私たちは信じている。この国には、そんな熱のある人が残っていると。国民を守るためにあらゆる手を使い、戦い続ける勇気のある人がいると。これは、国家の危機に瀕してもなお、一筋の希望の光を見出すために奮闘する人たちの物語である。」と紹介されています。
1976年に、当時東大助手の石橋克彦先生が駿河湾地震説(のちの東海地震説)の論文を発表し、「あす起きても不思議ではない」と日本沈没が現実味をおびて静岡県内はパニックになったことを思い出します。この論文が日本政府や静岡県を動かして、現在の地震防災対策の原点になっています。あれから45年の間に阪神淡路大震災、東日本大震災、熊本地震など日本各地でいくつもの大地震を経験しています。
そんな中、国連の会議「コップ26」で、温暖化による災害の激化が指摘されましたが、津波にも大きな影響が出る可能性が浮かび上がったというニュースがありました。
東北大学災害科学国際研究所の研究グループが、南海トラフの巨大地震によって被害が想定される地域で海面上昇の影響を試算したところ、津波が陸地を駆け上がる「遡上高」の上昇幅は、場所によっては海面の上昇幅の2倍以上に達することがわかったとし、「将来に向けて、地形や地域に応じた対策を検討する必要がある」としています。今世紀末に気温が4度前後上昇した場合、日本付近では平均でおよそ71センチ上昇する可能性があるということです。
静岡県内では南海トラフ巨大地震対策がすすめられ、遠州灘海岸などで防潮堤の嵩上げや沿岸地域に命山や津波避難タワーの建設などが進められていますが、1日も早く完成することを願うばかりです。
この機会に大地震や大津波の発生に備えてイメージトレーニングして下さい。
(防災アドバイザー 郷隆志)