【アイサポ防災コラム】その28:異常気象時の避難行動計画を作ろう!

先月、豪雨災害に備える話をしましたが、今回の「令和2年7月豪雨」で、熊本県を中心に静岡県を含む東海地方でも多くの尊い命が奪われ、多くの家屋が被害を受けました。
気象庁が早い段階で大雨を予想し、レベル5の大雨特別警報、レベル4の土砂災害警戒情報や氾濫危険情報が出され、市町村からは避難勧告や避難指示などの情報が発信されましたが、情報の出し方に問題があったのか、ハザードマップを知らなかったのか、またも課題を残しました。
熊本県由布町の老舗旅館の経営者家族4人が犠牲になりました。この家族は普段から防災意識が高く、前の日には避難所に避難しましたが、雨が小康状態になったので自宅に戻ったそうです。そして再び雨が激しくなって来ましたが、その時は近隣の避難の呼びかけには応じず、危険を感じてからの避難だったようで間に合いませんでした。
また特別養護老人ホームでは近隣と連携しての避難訓練も頻繁に行われており、大勢を助け出しましたが、急激な増水で2階から上の階へ全員を避難させることは出来ず、14人が亡くなりました。近隣住民と事前の約束があっても、住民も危険にさらされていたわけで、計画通りの避難行動が取れなかったことが想像出来ます。
一方、氾濫した球磨川沿いの球磨村渡地区茶屋集落の27戸全戸が水没しましたが一人も犠牲者は出ませんでした。過去に何度も2階まで浸水するなどの水害に見舞われた土地で、今回避難の判断のきっかけは、見慣れた水路の急激な増水と水の色などの異変でした。
今回の豪雨災害も亡くなった人の8割が水死で、中には窒息死もありました。見つかった場所は屋内が半数以上を占め、また亡くなった人の6割を超える人が自宅の中や敷地内で見つかりました。いずれも河川の氾濫による急速な浸水で逃げ遅れた犠牲者が多かったことが分かります。
普段からハザードマップで災害の危険性のある区域や避難場所、避難経路、避難のタイミングの再確認など、自分の避難行動計画を時系列で確認しておいてください。
そして避難所の問題ですが、新型コロナウイルス感染症は,移動自粛緩和から1ヶ月で新たな感染者が10倍以上と拡大が止まりません。三密の避難所を避け、可能ならば早い段階で親戚や友人宅に避難することをお薦めします。
(文:防災アドバイザー 郷 隆志)

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