【アイサポ防災コラム】その54:豪雨なのに水がない
台風15号に伴う線状降水帯の発生で、静岡市で12時間雨量404.5ミリなど各地で記録的な豪雨となり、西部中部を中心に洪水や長時間の停電、清水区では水源の興津川の取水口が流木などで取水出来なくなり、長時間断水するなど大きな被害が出てしまいました。
29日時点の静岡県のまとめによりますと、死者2人、行方不明1人、床上浸水1829戸、床下浸水3564戸を出してしまいました。被災された皆さん、心からお見舞い申し上げます。
記録的短時間大雨情報が静岡市、島田市、焼津市、藤枝市、牧之原市、吉田町、川根本町、浜松市、磐田市、掛川市、森町の11市町に合わせて16回、のべ32回発令されました。
興津川に氾濫危険水位、安倍川に避難判断水位、朝比奈川に氾濫危険水位、菊川に氾濫危険水位、小薮川に氾濫開始水位相当、沖之川に避難判断水位、馬込川に氾濫危険水位、都田川に氾濫危険水位の情報が発表されました。テレビやラジオ、市民防災ラジオや防災メールは避難情報などを引っ切り無しに発表していました。
各地に大雨警報や洪水警報、土砂災害警報などは出されましたが、かなり早い時点で線状降水帯の発生の可能性について発表されていたのに、台風や集中豪雨による数十年に一度の降水量となる大雨が予想される場合に発表される大雨特別警報は発表されませんでした。静岡大学の牛山素行教授によりますと、予測は技術的に困難であり発表の判断が難しかったのではと結論づけていますが、空振りであっても出しておく方が良かったのではと思います。
私の知人で、洪水に見舞われた清水区の巴川流域のお宅は、昭和49年7月7日の七夕豪雨の時は床下浸水でしたが、今回は床上浸水になってしまい、悪いことに清水区の大部分で長時間の断水になってしまったため、泥水の処理などに苦労していると言っていました。あさはた遊水池や大谷川放水路などの治水対策がとられて来ましたが、今回の様に1時間に100㎜を超える豪雨には対応出来ない場所もあったようです。とくに巴川流域では、大潮の時期で海面が高かった上に、台風の接近で更に海面が上がり、巴川の流れが極端に悪くなり、ないすい氾濫が起きてしまいました。
台風シーズンはまだ半ばです。もう一度ハザードマップを確認して早めの対策をして下さい。
(防災アドバイザー 郷隆志)