【アイサポ防災コラム】その64:ガスの臭いに危機感を持て!

7月3日、東京新橋のビル2階に入る飲食店で、3階のガス管の接続部分がずれてガス漏れか起きていたのですが、飲食店の店長は自分の店はガスの契約をしておらず、ガスの臭いを感じていたものの、タバコに火を着けようとして爆発しました。男性店長と女性従業員、それに通行人の男性がやけどなどで大けがをしたほか、別の通行人の男性が軽いけがをしました。
都市ガスの爆発事故で思い出すのは静岡駅前ガス爆発事故です。
この爆発事故は、昭和55年8月16日午前9時31分に、JR静岡駅に通じる地下街=紺屋町ゴールデン街、現在は紺屋町名店街で、最初はメタンガスが爆発し、その現場検証中に都市ガスの漏洩が分かったものの、避難などの対策が間に合わず大規模な爆発事故になり、消防隊員や警察官など15人が死亡、マスコミ関係者や通行人などを含む223人が重軽傷を負いました。
最初の爆発では火災には至らない小規模なもので、ビル内の都市ガスのガス管が破損し、都市ガスは空気より軽いためにビルの上層階にも達しており大爆発になりました。
当時向かいにあった西武百貨店静岡店や周囲の商店や雑居ビルなど163店舗のガラスや壁面が破損しました。
私は、当時SBSのアナウンサーとしてラジオの「モーニングダイヤル」という番組を担当しており、生放送を終えてスタジオを出たところでこの事故を知らされました。直ぐに現場に急行し、取材とテレビ・ラジオの全国中継などを次の日の夕方まで担当しました。現場と西武百貨店の間にある呉服町通りには、最初のガス爆発で出動した消防自動車が爆風で数メートル移動しており、瓦礫の山の中に半分埋まっていました。
これ以前のガス爆発事故では、昭和45年4月8日の大阪の地下鉄工事現場で起きた天六ガス爆発事故が有り、死者79名、重軽傷者420名を出す大惨事がありました。
静岡駅前ガス爆発事故を教訓に、ガス漏れ感知設備や緊急遮断弁設置など設備面の義務化や消防法改正等が行われています。
新橋の事故を含めて、いずれも爆発するという危機感が薄かったと言えます。
ガス漏れ警報装置が作動したりガスの臭いを感じたりしたら、迷わず直ぐにガス会社や消防に連絡してください。
直ぐに判断出来ないときは、危機感を持って家族などに確認して貰ってください。
(防災アドバイザー 郷隆志)

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