【アイサポ防災コラム】その73:巨大地震の始まりではないの?
このアイサポ防災コラムを書き始めて7年目に入りました。これからも生命財産を守るための情報をお伝えしたいと思っています。
先月、活断層地震とプレート境界型地震のメカニズムなどを取り上げましたが、4月17日の深夜に豊後水道を震源とするマグニチュード6.6の地震が発生し、愛媛県と高知県で震度6弱の揺れを観測しました。
この地震発生直後、私は今回の地震が南海トラフ巨大地震の想定震源域の中で発生したため、南海トラフ巨大地震が始まったのではないかと緊張しました。
四国や九州も静岡県と同様、海側のフィリピン海プレートが陸側のユーラシアプレートの下に沈み込んでおり、南海トラフ巨大地震は、そのプレートの境界部分で発生すると想定されています。
この地震発生後に気象庁は、南海トラフ巨大地震が発生する可能性が急激に高まっているわけではないと発表しましたが、最大の理由は地震の規模が想定より小さかったとしており、さらに震源の深さが39㎞とやや深い海側のプレートの内部で起きた地震だと考えられているとしています。
一方、政府の地震調査委員会は、豊後水道では今も活発な地震活動が続いているとしていますが、周辺で地殻変動の観測データなどに顕著な変化は確認されていないと指摘し、「南海トラフ地震が起きる可能性がふだんと比べて高まったと考えられる特段の変化は観測されていない」と評価しました。
地震調査委員会の委員長で東京大学の平田名誉教授は、「あくまでも普段と比べて特段の変化を示すデータを得られなかったという評価をしただけで、南海トラフ地震は突然起きる可能性が高いため、いつ南海トラフ巨大地震が起きてもおかしくないと思って、建物の耐震化などの備えを進めて欲しい」としています。
この機会に、木造住宅の耐震化や家具の固定、避難する場合の避難場所と避難ルートの確認、季節に合わせた非常持ち出し袋の中身の確認(今年も猛暑が予想されており塩飴も入れてください)、そして家族などとの連絡方法の確認などをしてください。
巨大地震は超広域で、火災や倒壊などが同時に多発するなど、甚大な災害の為、警察や消防は機能しない恐れがあり、やはり自助共助が重要です。
食料等の支援は相当な時間が掛かる恐れがあり、最低1週間分の水・食料の備蓄などをしてください。
(防災アドバイザー 郷隆志)