【アイサポ防災コラム】その84:災害関連死対策を
毎月第3土曜日の午前中、静岡県地震防災センターで対面とZOOMを使って、ふじのくに防災学講座が開かれています。3月15日は「災害と福祉」をテーマに、静岡県立大学短期大学部社会福祉学科の鈴木俊文教授の講義でした。
大災害時の視覚障害者を含む障害者や高齢者など、災害時要支援者の福祉支援の状況を再確認しました。
災害関連死という言葉が知られるようになったのは熊本地震からです。
阪神淡路大震災や東日本大震災、近年の豪雨災害でも、長びく避難生活の中で助かった命が失われる災害関連死はありましたが、近年の統計を見ると、自然災害による直接死を上回っています。
これまでの自然災害で亡くなった人の割合は、身体障害者や高齢者が極めて高く、災害関連死の割合も同じく、災害弱者と言われる人が圧倒的です。
大災害が発生すると、全国から人命救助を最優先に警察、消防、自衛隊や医療チームが入りますが、被災者をサポートする介護福祉士、社会福祉士らで構成される災害福祉支援チームは発災後1週間程度あとからになります。
私が取材した新潟県中越地震の被災直後の避難所で、当初、防災関係者などが体育館の床を土足で行動したために、床に寝ていた高齢者が肺炎になるケースが複数ありました。最近は段ボールベットの普及などで多少改善されてはいます。また水を流せない不衛生なトイレを我慢し、トイレの回数を減らす為に水分を控えた結果、エコノミークラス症候群などで亡くなった人もいました。
ところで東北大学などの研究チームは、2019年から5年間、GPS観測装置を使って巨大地震発生の可能性が指摘されている千島海溝の地殻変動を調査しましたが、前回は17世紀にマグニチュード8.8クラスの地震が起きたとされていて、約400年にわたって、現在と同じ速度で歪みが蓄積していた場合は、将来的にマグニチュード8後半からマグニチュード9程度の巨大地震を引き起こすエネルギーがすでに蓄えられている可能性があり、起きると東日本大震災と同程度の大災害になる恐れもあります。
大災害が起きても災害関連死にならない為には在宅避難が一番です。
長期間の避難生活では衛生環境など安心・安全の確保が重要で、家の耐震化と家具の固定、水・食料を最低でも1週間分以上の備えをしてください。
(防災アドバイザー 郷隆志)