【アイサポ防災コラム】その85:ミャンマーの地震とは

このコラムを始めてから8年目に入りました。これからも自然災害から命を守るために考えていきたいと思います。
3月28日にミャンマーでマグニチュード7.7の大地震が発生し、数千人が亡くなったり行方不明になったりしています。
ミャンマーのザガイン断層で発生した大地震は、日本の地球観測衛星「だいち2号」が捉えた震源付近の画像を国土地理院が分析した結果、震源付近の地面が南北方向に400㎞以上に渡って動いたほか、メカニズムは横ずれ断層型の地震で、断層を挟む形で地面が最大で6メートル程度ずれ動いていることも確認されたということです。
去年1月1日に起きたマグニチュード7.6の能登半島地震では、地震を起こした断層が東西方向におよそ150㎞ずれ動き、最大でおよそ4メートルの隆起が確認されていますが、ミャンマーの地震は、それをはるかに上回る地殻変動が起きたということで、そのエネルギーは能登半島地震の2倍といわれています。
ミャンマーは以前、ビルマと言われていましたが、いま軍事政権下にあり、軍と少数民族や民主派と内戦状態にあり、日本をはじめ世界中から救援隊や医療チームが支援に入っていますが、思うように救出救護は進んでいないようです。
また1000㎞も離れたタイでも大きな被害が出ています。特に首都バンコクでは建築中の高層ビルが、振幅の大きい長周期地震動の影響で一瞬にして倒壊しました。これは鉄骨の材質や強度など設計に重大な問題があったようです。
地震の揺れ方には、短周期、中周期、長周期と分けられ、小刻みに揺れる短周期地震動に対して中周期地震動はキラーパルスと言われ、低い建物を倒壊させるなど人的被害も出やすいと言われています。長周期地震動は大型の船が大きなうねりにユックリと揺れるような地震で、高層ビルや高速道路の高架橋などの大型建築物を破壊させるエネルギーを持つと言われています。東日本大震災が起きたときに、東京都内の超高層ビルの上の階では、振幅の大きい揺れで室内の机などが大きく移動したり人が船酔い状態になったりしたのも長周期地震動です。
南海トラフ巨大地震は、中周期地震動と長周期地震動が同時に起き、長時間揺れが続くと言われ、耐震性能が低い建物は倒壊の恐れがあり、直ぐに耐震化など対策が必要です。
(防災アドバイザー 郷隆志)

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