【読書案内】瀬戸内寂聴さんを偲んで
瀬戸内寂聴さんを偲んで
こんにちは、貸出担当です。
作家で僧侶の瀬戸内寂聴(せとうち・じゃくちょう)さんが9日、心不全のため亡くなりました。99歳でした。
自らの不倫経験や性愛も包み隠さず著書につづり、流行作家として活躍するさなか、51歳で得度(出家)。本名の晴美から法名・寂聴を名乗るようになりました。執筆の傍ら尼僧としても精力的に活動し、ユーモラスな法話でも人気を博しました。
63年、2人の男の間で揺れる女の性と心理を綴った「夏の終り」で女流文学賞を受賞、一遍を描いた「花に問え」で谷崎潤一郎賞、西行の人間性に迫った「白道」で芸術選奨文部大臣賞などを受賞しました。98年には「源氏物語」現代語訳(全10巻)を完成させました。
瀬戸内寂聴さんの作品を紹介します。
以下、タイトル、出版社、出版年、点訳・音訳の有無、内容紹介の順です。
1.夏の終り 新潮社 1966年 点字・デイジー
泥沼のような生活にあえぎ、女の業に苦悩しながら、一途に独自の愛を生きてゆく女性を描いた表題作を含む5編の連作短編集。女流文学賞受賞。
2.寂聴般若心経 生きるとは 中央公論社 1988年 点字・デイジー
執着を捨て、解き放たれた、自由な心になったとき、人は輝くように美しくなる。仏の教えを266文字に疑縮した「般若心経」の真髄を、自らの半生と重ね合わせて説き明かし、生きてゆく心の拠りどころをやさしく語りかける、現代最良の仏教入門。
3.花に問え 中央公論社 1992年 点字・デイジー
漂泊に生きた捨聖(すてひじり)一遍上人の俤(おもかげ)に重ねて、独り生きる途をさまよう祇園の若き女あるじの心の旅を描く。谷崎潤一郎賞受賞。
4.花芯(かしん) 文藝春秋 1975年 点字・デイジー
親の決めた許婚と結婚した園子(そのこ)は、突然、夫の上司に生まれて初めての恋をした。
5.白道(びゃくどう) 講談社 1995年 点字・デイジー
なぜ西行は、他人には突如と見える出家の道を選んだのか。西行と同様に、俗世の営みを経て出離の道を選んだ著者が、彼の人間像に迫る。第46回芸術選奨文部大臣賞受賞。
6.源氏物語 全10巻 講談社 1997年 点字・デイジー
瀬戸内寂聴、渾身の金宇塔。源氏物語全訳。
7.いのち 講談社 2017年 点字・デイジー
病に襲われ、痛切な老いに直面した私。脳裏に蘇るのは、人生で出会った男たちと筆を競った友の死に様だった。最後の長編小説。
上記以外にもたいへん多くの著作が点訳、音訳されています。
気になる方はセンターまでお問い合わせください。