【読書案内】第168回 芥川賞と直木賞が決定

先日、第168回芥川龍之介賞・直木三十五賞の発表がありました。
受賞作品を紹介します。

芥川賞は「この世の喜びよ」井戸川射子(いこ)著と「荒地(あれち)の家族」佐藤厚志著の2作品。

直木賞は「地図と拳(こぶし)」 小川哲著と「しろがねの葉」千早茜著の2作品が受賞しました。
   
「この世の喜びよ」は、ショッピングセンターの喪服売り場で働く女性が主人公。フードコートに通う中学生の少女やゲームセンターで働く青年と
交流しながら、かつての子育ての日々や眠っていた記憶を呼び起こしていく。

「荒地の家族」は宮城県南部を舞台に、造園業の男性を主人公にした物語。家族と周囲の人々の暮らしや風景を淡々と描き、東日本大震災からの歳
月を浮かびあがらせた。

「地図と拳」は、「満洲」の架空の都市の半世紀にわたる興亡を通して、日本が戦争に至った構造を浮き彫りにした大作。立場が異なる人々の思惑
が複雑にからみあいながら、白地図のような土地に歴史が刻まれていくさまを、史実と空想を織りまぜて描いた。

「しろがねの葉」は自身初の時代小説。戦国末期から江戸前期のシルバーラッシュに沸く石見銀山を舞台に、天才山師に育てられた女性の一生を描
いた。銀を掘るのは男の仕事とされる銀山で女性が生きる困難と、富と引き換えに命をむしばまれてゆく男たちとの別れを通して、生きることの意
味を問う。

受賞した4タイトルのうち、「この世の喜びよ」はデイジーが完成していますが、他は点字・デイジーともに製作中です。

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