【読書案内】第171回 芥川賞と直木賞が決定

こんにちは、貸出担当です。
第171回芥川龍之介賞・直木三十五賞の受賞作が発表されました。
受賞作品を紹介します。

芥川賞は 朝比奈 秋さんの『サンショウウオの四十九日』と、
松永K三蔵さんの『バリ山行』が受賞しました。
直木賞は一穂ミチさんの『ツミデミック』が受賞しました。
『ツミデミック』はデイジーが完成していますが、他は点字・デイジーともに製作中です。

『サンショウウオの四十九日』は、「全身が半分ずつ結合して生まれ、外見からは1人に見える「結合双生児」の2人の女性の物語です。
肉体だけではなく脳も共有しているために思考や記憶が混じり合う2人が、自我の境目を行き来しながら生と死について巡らせる思いを、視点を頻繁に入れ替える手法で描いています。

『バリ山行』は、勤め先が経営難に陥り、人員整理への不安を募らせる会社員の男性が主人公です。
ある日、先輩社員について道なき道を突き進む登山に挑みます。職を失うかも知れない不安を抱えながら、決死の思いで険しい谷を越える体験を通して自らの生き方を問い直す心の動きが臨場感あふれる描写で書かれています。

『ツミデミック』は、コロナ禍の日本を舞台にした6つの作品からなる短編集です。
賑わいを失った夜の繁華街で客引きをする男の前に、死んだはずの同級生を名乗る女が現れる物語や、長年働いた飲食店を解雇された男が、ひとり暮らしの老人に財産目当てで近づこうとする物語など、パンデミックに翻弄される世界で“罪”と背中合わせに生きる人たちの心の揺らぎを繊細な文章で浮かび上がらせています。

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