【アイサポ防災コラム】その40:避難情報に素直に従おう!
先月、梅雨末期に線状降水帯による豪雨災害が多いとお話しましたが、7月3日午前10時半頃、熱海市伊豆山(いずさん)で発生した大規模な土石流は、海まで約2㎞にわたって流れ出し、7月25日夕方時点で、約130棟が被災し、21人が死亡、6人が行方不明という大惨事になってしまいました。他県からの応援部隊を含む警察や消防、自衛隊などが猛暑の中、連日捜索活動を続けてます。発災時に熱海市が出した避難情報は「高齢者等避難」のみで、避難指示は出されませんでしたが、発災後に土砂災害が発生する恐れが極めて高まったとして、熱海市内全域の約2万1千世帯の約3万6千人に避難情報で最も危険度の高いレベル5の「緊急安全確保」を出しました。
今回の伊豆山の土石流災害の原因について土木の専門家でもある静岡県副知事は、流れ出した土砂が不法な盛り土から出たと思われると記者会見で明らかにしており、国や県も調査に乗り出しました。山は天然のダムと言われています。山に降った雨は土の中に入り、樹木を育て、しみ込めなかった雨水が谷を流れます。伊豆山地区はこれまで大きな土砂災害は無かったと言うことで、谷を不法に盛り土したことにより、山に降った雨が密度の荒い盛り土部分にしみ込んで、それが保水の限界を超えて大規模崩壊に繋がったと想像出来ます。
静岡県のホームページによりますと、県内には急傾斜地崩壊危険区域が1,265箇所、土砂災害危険箇所が1万8,215箇所、特別警戒区域は1万5,314箇所が指定されています。また土砂災害警戒区域の中に全学校の15.5%にあたる182校が含まれています。
台風や大雨などで地滑り、山崩れ、土砂崩れなどの危険がある区域では、行政やテレビ、ラジオからの防災情報に従い、速やかな避難等安全行動が重要です。
自分が住んでいる地区が危険かどうか、それぞれの自治体の防災担当に問い合わせれば教えてくれます。また自治会の人や民生委員と非常時のことを確認しておいてください。
防災無線が豪雨の音で聞こえなくても、スマホや携帯電話のエリアメールが、「高齢者等避難」や「避難指示」を伝えてくれます。
以前このコラムで正常性バイアスに陥るなとお話しました。過去の経験に振り回されず、自分は大丈夫だと思い込まないことです。
(防災アドバイザー 郷隆志)