【アイサポ防災コラム】その19:正常化バイアスに陥っていませんか?

10月12日から13日にかけて伊豆半島に上陸したスーパー台風19号は記録的な豪雨となり、伊豆や県東部、関東甲信越、東北地方などに大きな被害をもたらしました。
まだ全容は分かっていませんが10月24日夜の時点で、16都県71河川135ヶ所で堤防が決壊し、266ヶ所で濁流が堤防を越えました。
人的被害は静岡県内の死者2人、行方不明者1人を含む、全国で死者86人、行方不明者8人を出してしまいました。住宅の被害は6万8000棟を超えています。
この台風19号は5日も前から猛烈な強さと豪雨が予想されていましたが、自然には勝てませんでした。各地にスーパー警報と言われる警戒レベル5の大雨特別警報が早くから出されており、全員避難という警戒レベル4の土砂災害警戒情報、洪水警報や氾濫危険情報が出されていたにも関わらず、避難しないで犠牲なった人、避難が遅れてヘリで救出された人があまりにも多くいました。亡くなった人の半分以上は高齢者や体の不自由な人で、一階の寝室で亡くなった人も多くいました。普段お世話になっている民生委員やガイドヘルパーさんも同じ地域に住んでいれば、自分の命を守ることが精一杯という人もいたと思います。
また一部の自治体は河川を管理する国土交通省からの最も重要な情報である氾濫発生情報が伝わらなかったことも分かりました。
エリアメールやテレビ、ラジオなどで早くから豪雨災害の危険を伝えられていたにもかかわらず、なぜ早い段階で避難しなかったのか残念でなりません。異常気象時はいち早い判断と行動が生死を分けます。
今回氾濫したり堤防が決壊したりした場所は、過去にも同じように被害にあっている所が多く有り、ハザードマップで危険地域とされている所がいずれも被災していました。神奈川県川崎市の武蔵小杉の高層マンションが建ち並ぶエリアは、30年前は工場地帯、それ以前は田んぼで、近くを流れる多摩川と支流が何度も氾濫していた場所でした。
自分が住んでいる場所がどんな土地であるのかをハザードマップで調べてみて下さい。
自分の家は大丈夫だと思い込んでいませんか。人間はどうしても都合良く解釈してしまいがちです。正常化バイアスに陥らないようにしたいものです。
(文:防災アドバイザー 郷 隆志)

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