【アイサポ防災コラム】その27:それでも避難しますか?
梅雨末期の集中豪雨や台風シーズンに入りました。近年は各地で甚大な豪雨被害が多発しています。気象庁から警報や注意報が、市町村からは避難勧告や避難指示などの情報が発信されていますが、住民に正しく理解されていなかったなどの課題が出てきました。そこで国は災害発生の危険度を直感的に理解し、的確に避難行動ができるように、去年6月から気象警報や川の水位、避難に関する情報など防災情報を5段階の警戒レベルを用いて伝えることにしました。
そしてこの程、レベルごとの色が見分けにくい人に配慮した新しい配色を決めました。今後、自治体やメディアなどに統一した色を使うよう求めています。
災害が発生していることを示すレベル5は黒で、大雨特別警報や氾濫発生情報などが発表され、命を守る緊急行動を取る必要があります。
次に避難指示や勧告が出されますが、危険な場所から避難する段階のレベル4が紫で、これまで全員避難としていましたが、山崩れや崖崩れ、浸水など、災害のリスクが無い場所にいる人まで避難が必要だという誤解が生じたとして、危険な場所から全員避難と改めました。
そして高齢者や視覚障害者など、避難に時間がかかる人が避難する段階のレベル3が赤となっています。
普段からハザードマップで災害の危険性のある区域や避難場所、避難経路、避難のタイミングの再確認など、非常時の避難に備えて自分の避難行動を確認しておいてください。
そして避難所の問題ですが、静岡県が2018年3月にまとめた「避難所運営マニュアル」では、感染症対策としてインフルエンザやノロウイルスなどの治療方法は確立していましたが、新型コロナウイルス感染症対策として3密の回避などを盛り込んだ新しい避難所運営ガイドラインを策定し、県内各市町の意見を聞いて7月上旬までにとりまとめるとしています。
何度もお伝えしましたが、視覚障害者の避難所内の行動は非常に厳しい環境です。3密を実行した収容人数は、これまでの3分の1から4分の1になってしまいます。換気を優先して台風接近でも扉や窓を開けるのでしょうか?冬の北風に吹きさらされることに耐えられますか?避難所運営訓練に是非参加してください。
避難所に行かなくても済むように、地震や風水害に備える居住環境の整備が一番です。
(文:防災アドバイザー 郷 隆志)