【アイサポ防災コラム】その29:情報を正しくキャッチして速やかな行動を

今年の梅雨は長く、各地に大雨特別警報が出されるなど雨量は多く、日照時間は少ないなど記録ずくめでした。梅雨が明けると浜松市で全国一高温の41.1℃を記録するなど酷暑が続き、新型コロナウイルス感染予防の為、マスクの着用から例年以上に熱中症患者が多く、当分コロナ感染拡大にも警戒が必要です。
令和2年7月豪雨で犠牲者50人以上など大きな被害を出した熊本県の球磨川の氾濫で、気象庁が氾濫発生の約5時間前に発表した100年に1度という水位の上昇を予測した情報が、国土交通省と共同で発表する指定河川洪水予報に反映されなかったばかりなのに、山形県の最上川でも、氾濫発生確認の9時間前に気象庁が100年に1度の水位上昇を予測していましたが、またも指定河川洪水予報に活用されず、氾濫前に避難出来なかった人が多くいました。
いずれも指定河川の管理者である国土交通省が中心になって水位の実測値に基づく災害予測を行うためで、気象庁の流域雨量指数が反映されていません。国土交通省の幹部は「大河川では水位の実測値に基づく確度の高い情報を出しており、アプローチが異なる。気象庁の指数はあくまでバーチャルな数字であり、必ずしも確度が高いとは言えない」と説明しています。気象庁は国土交通省の外局なのですが、こんなことで良いのでしょうか。
気象庁は、これまで全国を5キロ四方の格子に区切り、雨量と地面にしみこんだ水分量を推定した「土壌雨量指数」を指標にしていたものを、より細かい1キロ四方の格子にしたうえで「土壌雨量指数」のみを指標に使うということで、短時間の局地的な豪雨でも、土砂災害を対象とする大雨の特別警報を発表できるように基準を見直しました。
全国の多くの堤防は、時間当たり50㎜の雨を基準に造られていますが、近年100㎜を超す大雨も珍しくなく、多発している豪雨災害に対策が追いついていないのが現状です。
これからが台風シーズン本番です。
我々は、気象庁や各自治体などが発表する気象情報や避難情報を正しく理解し、速やかに適切な行動が第一です。
毎年9月1日前後に行われる静岡県総合防災訓練は、今年は新型コロナウイルス感染拡大の為に中止になりましたが、各家庭や職場で静岡県防災アプリを使うなどしてイメージトレーニングして下さい。
(文:防災アドバイザー 郷 隆志)

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