【アイサポ防災コラム】その34:コロナ禍で巨大地震が起きたら?
新型コロナウイルスの感染拡大が止まらず、11の都府県に緊急事態宣言が出されていますが、静岡県は緊急事態宣言ではないものの、英国で流行している変異型の新型コロナウイルス感染者が静岡県内で確認されたことを受け、川勝知事は19日、変異種の感染力が高いため、感染者が急増すると医療体制の危機となり特別の警戒が必要だとして、県独自の感染拡大緊急警報を発令しました。
ところで1月は過去に大きな地震が起きています。
26年前の1995年(平成7年1月17日)に発生した阪神・淡路大震災では、建物の倒壊や火災などが相次ぎ、その後の災害関連死も含めて6443人の尊い命が失われました。
静岡県内では1978年(昭和53年)1月14日、マグニチュード7の伊豆大島近海地震が発生して、死者9人、負傷者109人、住宅の全半壊500戸余り、病院も25個所に被害が出たほか、崖崩れ57個所、伊豆急など鉄道の12個所で大きな被害が出ました。この地震で稲取・大峯山断層が生じて、そこを横切る伊豆急の稲取トンネルの中でくいちがいが生まれて長期間運休しました。
日本では内陸直下の活断層の地震でも局地的に甚大な被害をくり返していますが、政府の地震調査委員会は、全国の活断層で地震が発生する危険度を、SやAなど4段階にランク分けして警戒を呼びかけています。切迫度が高いSランクに入っている富士川河口断層帯地震は、今後30年以内の発生確率を計算すると3%以上で、その値は小さく感じますが、国のある統計によると今後30年以内に交通事故で死亡する確率は0.2%。火事にあう確率は1.9%ということですから、3%という確率が低く見えても、地震は来ないと言われていた阪神・淡路大震災のように突然、大地震が来ることもあります。
今のコロナ禍で大地震が起きたら、医療機関はコロナ患者対応に加えて災害対応も同時にしなければならず、全国から災害医療チームの応援が入ったとしても医療崩壊が起きる恐れがあります。
正常性バイアス、これは自分にとって都合の悪い情報を無視したり過小評価したりしてしまう人の特性のことを言いますが、新型コロナウイルス感染症に対しても自然災害に対しても、正常性バイアスに陥らないよう、情報を正しく理解して正しく行動が取れるようにすることです。
(防災アドバイザー 郷 隆志)