【アイサポ防災コラム】その63:内水氾濫の恐れは大丈夫?
東海地方の梅雨入りは平年より8日早く、昨年より16日早い5月29日頃でした。
「頃」と言う表現は、梅雨が明けて再び梅雨が戻ってこないことがはっきりしてから確定されるからです。
6月1日から2日にかけて日本の南にあった梅雨前線は、台風2号の動きに合わせて本州付近へ北上して活動が活発になりました。
とくに静岡県では、2日は広い範囲で雨雲が発達し、同じ地域に激しい雨や非常に激しい雨が長時間降り続く線状降水帯が発生して、24時間の降水量が浜松市熊で497.5ミリ、藤枝市高根山で478.5ミリ、浜松市三ケ日で386.5ミリを観測するなど、複数の観測点で統計開始以来の時間降水量を更新し、予想を上回る大雨となりました。
磐田市、袋井市、沼津市に避難情報レベル5の「緊急安全確保」が出されました。
磐田市では堤防の決壊による氾濫もありましたが、内水氾濫も各地で起きました。
内水氾濫とは、時間雨量50㎜の設置基準を超えた河川の増水や大雨で、側溝や排水路などの排水機能が耐え切れずに、少しずつ浸水していく特徴があります。また河川の水が排水路などを逆流して起きることもあります。
沼津市では、狩野川の水位が川に流れ込む水路よりも高くなった時に稼働する排水ポンプが故障して大岡地区で被害が拡大し、「きせがわ病院」では1階のリハビリ施設が浸水被害を受けました。
避難開始が遅れて既に浸水が始まってしまったら、避難場所に向かうのは大変危険です。その場合は建物の2階以上への避難=垂直避難が賢明です。
視覚障害者の歩行は、普段は頭の中の地図を頼りにしているかたが多いと思いますが、浸水してからでは、対象物の位置や音、臭いなどのランドマークが変わってしまい、単独行動は危険です。また水深30㎝程度の流れの緩やかな川でも、軽量タイプの白杖では流れに耐えられず浮いてしまって役に立ちません。
住んでいる地域にレベル3の高齢者等避難の情報が出たら速やかに安全な所に避難してください。早い時点では水平避難。危険が迫ってしまったら建物の2階以上、垂直避難をしてください。
気象庁はエルニーニョが発生したと発表しました。そして7月からの3ヶ月予報では高温、多雨、多湿と予想しており、台風の多発も心配されます。
情報を正しく知って正しい行動を!
(防災アドバイザー 郷隆志)