【アイサポ防災コラム】その70:なんで元日に起きるの?~
穏やかな元旦を迎えた夕方、能登半島地震が発生し、1月24日時点で地震や津波による直接死が233人、うち災害関連死が15人。安否不明者が19人。複数のビルの倒壊を含め4万棟余りが全半壊するなど大災害になってしまいました。
2016年4月の熊本地震の直接死は50人に対して、地震により病気が悪化するなどして亡くなるという災害関連死は4倍の223人でした。
今回の能登半島地震では厳しい寒さと過酷な避難生活で、高齢者や身体障害者の健康管理が心配で、災害関連死が増えないことを願うばかりです。
災害関連死を防ぐには自宅に戻ることですが、倒壊したり焼失や流失したりで、家に帰れない人は、1日も早く自治体が用意した旅館やホテルへの二次避難、借り上げ住宅や仮設住宅に移ってください。
能登半島地震が大災害になったのは、震源域が居住地域に近かったこと。津波と火災が地震直後に発生したこと。液状化が起きやすい地域に古い木造住宅が多かったこと。高齢者が多く避難出来なかった人が多かったこと。正月で帰省していて被災した人が多かったこと。
そして警察や消防、自治体や病院などが正月体制で初動が遅れたことに加えて、被災現場が同時多発で救出救護が追いつかなかったことなど、悪条件が重なってしまったからです。
被災地への食料や生活物資は全国から届くようになりました。停電は徐々に復旧し、携帯電話も基地局が徐々に復旧して通話、通信が出来るようになってきましたが、水道の復旧は相当先になりそうで、しばらくは厳しい生活が続きそうです。
いま避難所生活では、仮設トイレの不足と衛生管理、性加害問題やプライバシーの保護が急がれます。
南海トラフ巨大地震や東海地震が起きたら、静岡県を中心に関東から四国、九州に及ぶ超広域の激甚災害になります。
能登半島地震をきっかけに、非常持ち出し袋や非常食の確認、食料の備蓄を見直した方も多いと思いますが、死んでしまったら何の役にも立ちません。
まずは命を守ることで、家の耐震化と家具の固定が基本です。
激しい揺れが来たら頭を守り、揺れが収まったら安全な所に避難してください。
緊急地震速報やエリアメール、テレビラジオの情報を待ってからでは津波避難は間に合いません。
大地震は自然現象で、時や場所を選んではくれません。
(防災アドバイザー 郷隆志)