【アイサポ防災コラム】その4:豪雨災害から命を守る為に
大阪府北部地震の影響がまだ残っている中、7月19日現在でそれを大きく上回る230人を超す死者、安否不明者を出す西日本豪雨災害が起きてしまいました。さらに猛暑が続く中、過酷な避難生活で熱中症などの災害関連死が出ないか心配されています。
44年前の昭和49年の七夕豪雨を思い出された方も多いと思います。台風8号と梅雨前線の影響で、静岡市で降り始めから一晩で508ミリを記録し、巴川と安倍川、丸子川などが氾濫したほか、駿府城公園の堀が溢れていました。また、静岡県内の各地で土砂崩れや山崩れが起きてしまいました。この七夕豪雨では死者27人、全壊や流失家屋30棟、床上浸水約1万2千棟、床下浸水約1万4千棟の被害が出ました。
当時SBSアナウンサーだった私は、豪雨の中、その日行われた選挙の特番で中継を担当していましたが、途中から豪雨災害の報道に変わりました。雨が上がった翌日、取材中ではありましたが、マイクを置いて消防団員と協力し、鉄砲水で全壊した家から親子を助けたことが鮮明に思い出されます。
現在は特別警報や土砂災害警戒情報などが市町単位で細かく発表されます。これは台風や集中豪雨により数十年に一度の大雨が予想された場合などに気象庁が発表し、各自治体は直ちに防災無線や緊急メール配信でお知らせする他、テレビラジオでも速報や特番が組まれます。
災害が予想された場合、まず避難準備情報が出され高齢者や避難に時間が掛かる体の不自由な人などは、避難所など安全な所に避難するように呼び掛けられます。被害が出始めると町の中の様子が一変し、視覚障害者にとって頭の中の地図は役に立たなくなりますから早めの避難行動が重要で、隣近所に声を掛けて貰えるように普段からのコミュニケーションが大切です。
そして雨の降り方が悪化すると避難勧告が出され、さらに危険が迫った場合に緊急の避難指示が出されます。避難指示は避難命令と思って下さい。
西日本豪雨災害では細かく防災気象情報が出されていたにもかかわらず、多くの犠牲者を出してしまったことは残念でなりません。防災無線を家の中で受信出来る防災ラジオや、携帯電話やスマホで防災情報を知ることも出来ますし、携帯ラジオも強力な味方です。
防災情報をキャッチして命を守る為に直ちに行動することが重要ですが、万が一逃げ場を失った場合は119番で救助要請をして、消防署員の指示に従って下さい。
自分は大丈夫だからと言って逃げなかった人が、その後救助隊に救出されるというケースが多くあります。このような現象を正常性バイアスまたは正常化バイアスと言いますが、自分に都合の良い判断をせず、大自然に対してもっと謙虚になるべきだと考えます。
(文:静岡県地震防災アドバイザー 郷 隆志)