【アイサポ防災コラム】その66:避難しますか?
去年9月23日の台風15号の影響で、線状降水帯が発生して記録的短時間大雨情報が静岡県内11の市や町で発表され、県中部と西部を中心に記録的な大雨となりましたが、静岡市清水区では巴川が氾濫し、支流で内水氾濫が起きるなど広い範囲で被害が出ました。また災害関連死も含めて6人が亡くなり、20人がけがをしました。
床上浸水は1976棟、床下浸水が2747棟、全壊や半壊、一部損壊した住宅は2450棟にのぼっており、未だに20世帯近くの50人ほどが仮住まいを続けています。
県内の広い範囲で長時間停電し、猛暑が続く中でエアコンは使えず厳しい状況でした。
また清水区の広い範囲では長期間断水となり、風呂も使えませんでした。
地球温暖化で台風や豪雨災害がますます多くなる恐れが指摘されており、避難所生活をしなければならない場合もあると思います。
避難所生活は視覚障害者や高齢者には過酷です。1995年の阪神・淡路大震災、2004年の新潟県中越地震、2011年の東日本大震災の各被災地を、私が取材、調査研究した結果で言えることは、晴眼者・健常者でも避難所生活は過酷で、視覚障害者はその比ではなく、仕方なく壊れた自宅に戻った人も多くいました。
県内で大地震が発生した時に福祉避難所が直ぐに開設される保証はなく、近隣の市民が先に避難していた場合に立ち退いてもらうことができるかどうか課題です。
東日本大震災の時に取材した視覚障害の男性は、避難所に入った直後は周りの人の介助でトイレに行っていましたが、回を重ねる毎に頼みにくく、我慢したことで極度の便秘になり、救急車で入院する事態になりました。別の女性はトイレを我慢して膀胱炎になってしまいました。
トイレの次に困ったことは、足の踏み場もない体育館の中で食べ物や救援物資を貰いに行けないことでした。
ところで静岡県地域防災の日の前日、12月2日土曜日午後4時から静岡市立豊田中学校で、西豊田防災訓練が行われます。夜間の避難所運営や生活体験の他、避難所宿泊体験も出来ます。毎年、県内外から視覚障害者をはじめ体の不自由な人も多数参加しています。
避難所体験訓練をすることで、大災害の時の避難生活の大変さを実感出来、その為の備えの参考になると思います。問い合わせなど詳細は次号でお伝えする予定です。
(防災アドバイザー 郷隆志)