【アイサポ防災コラム】その72:活断層地震ってなに?
死者241人を出した能登半島地震の発生から間もなく3ヶ月です。
この地震で活断層地震と言う名前が頻繁に出て来ましたので、簡単に述べたいと思います。
ほぼ球形をした地球は、その地表近くが、サッカーボール表面を覆う革のように、10数枚の板のような硬い岩の層=プレートに覆われています。
日本は海のプレートの太平洋プレートとフィリピン海プレート、陸のプレートである北米プレートとユーラシアプレートが接する境界にあります。その海のプレートが陸のプレートの下に年間数センチから10センチ程度のゆっくりとした速度で沈み込んでいますが、この時に引きずりこまれた陸のプレートの先端部にひずみがたまり、100年から200年位の周期でひずみの蓄積が限界に達すると、その接地面=陸のプレートの先端部が元に戻ろうと跳ね返ります。この衝撃で起きるのがプレート境界型地震=海溝型地震で、2011年に起きた東北地方太平洋沖地震=東日本大震災もプレート境界型地震でした。
そしてプレート内部で発生するのがプレート内地震と言い、日本列島では地面の比較的浅い地下5㎞から20㎞位で起きるプレートの移動で圧縮されてひずみが蓄積し続けており、このひずみが限界まで達すると、陸のプレートの中で強度が弱い場所=断層が壊れ、そこがずれて起きる地震が内陸型地震=活断層地震です。
能登半島地震は、能登半島沖の活断層によるマグニチュード7.6の都市直下の地震で、4㎞を超える地盤隆起で海岸線がおよそ4㎞にわたり沖合に200m余り拡がり、輪島市の漁港では海底が隆起して干上がったほか、土砂崩壊等で鉄道や道路に甚大な被害が出ています。
また激しい揺れと液状化で建物の全半壊は約7万5千棟。輪島市朝市通りで大火災が起きてしまいました。
液状化による被害は、内灘町で地盤が住宅ごと水平方向に12メートルも横にずれた側方流動が起きていました。
6434人が犠牲になった1995年の阪神淡路大震災も、野島断層による都市直下型の活断層地震でした。
気象庁をはじめ国や大学などの研究機関が常時地殻変動などの観測をしていますが、2000以上ある活断層の地震発生の予知は出来ません。
地震=自然現象を抑えることは不可能です。命を守る為に、そして被災後の備えを再確認してください。
(防災アドバイザー 郷隆志)