【読書案内】第166回 芥川賞と直木賞が決定

第166回 芥川賞と直木賞が決定

昨日、第166回芥川龍之介賞・直木三十五賞の発表がありました。
受賞作品を紹介します。

芥川賞に「ブラックボックス」 砂川文次著

直木賞に「塞王の楯(さいおうのたて)」 今村翔吾著と
「黒牢城(こくろうじょう)」 米澤穂信著の2作品が受賞しました。

「ブラックボックス」は、新型コロナウイルスの感染が拡大している世の中で、荷物を自転車などで運ぶ「メッセンジャー」として働いている男性が主人公です。
これまで職を転々としてきた主人公が日々感じている他人や世間への不満、そして、“なぜ、突発的に怒りの感情を爆発させてしまうのか”という自身への問いかけが、独白のように淡々とした文章で書かれています。

「塞王の楯(さいおうのたて)」は、戦国時代、城の石垣作りに命をかける職人集団「穴太衆(あのうしゅう)」の姿を描いた歴史小説で、幼い頃、戦乱で家族を失い、「穴太衆」に育てられた石垣職人・匡介が主人公です。
大津城を舞台に絶対に破られない石垣こそが戦の無い世を作ると考える匡介と、どんな城でも落とせる鉄砲ができれば、戦は無くなると信じる鉄砲職人の集団「国友衆」の頭目との互いの信念をかけた対決を躍動感のある文章で描き出しています。

「黒牢城(こくろうじょう)」は、戦国時代、織田信長に背いて有岡城に立てこもった荒木村重が、翻意を促すためにやってきた黒田官兵衛を牢獄に幽閉したという史実を下敷きにした小説です。
城内では、密室殺人など不可解な事件が次々と起き、村重は牢の中の官兵衛に謎解きを求めるようになり、その場でほのめかされたヒントを基に解決を図ります。
村重と官兵衛の心理戦が緻密に描かれるだけでなく、事件の謎解きという推理小説としての要素と、戦国の世の価値観や慣習を盛り込んだ歴史小説としての要素を併せ持つ作品です。

受賞した3タイトルのうち、「黒牢城」はデイジーが完成していますが、他は点字・デイジーともに製作中です。

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